Ken Kawamura's Hammond C3 Mod “海月”

[ 第 V 章 Mask of Flesh ] 

第 5 章は、“海月”製作日記です。
これが、“海月” の元々の姿、ベースとなった1958年製のHammond C3 オルガンです。

これが、あのクラゲ姿になるワケですが、時系列を順に辿って完成までの道のりを説明していきます。

前述の経緯で、「ようし、C3を買って、透明化するぞ!」と決意した川村ケンさんですが、
先ず、一番最初にやるべきは、読んで字のごとく。
コンディションの良いC3を見つけて、買わなければなりません。
これだけでも、「運」と「出会い」と「チャンス」がなければ難しいことなのです。

なぜなら、Hammond社は、川村さんが「買うぞ」と思い立った日から30年以上も前に、すでにC3オルガンの生産を止めてしまっているからです。
つまり何十年も前に作られた中古品(←ヴィンテージと読んでください)の中から、壊れていない、できればコンディションの良い、それもプロフェッショナルな音楽制作の現場で使えるくらいの。。。つまり極上の一台に巡り逢えなければならないワケです。
しかも、御指定が、“C3”というトコロに、更に捜索は困難を極めます。
オルガンマニアな方なら、誰もが知っての通り、Hammond社のオルガンで、スタンダードなモデルは“B3”というモデルで、B3とC3は中身は全く同じですが、外観が異なるのです。


C-3

B-3

4本足がB3で、教会風デザインがC3です。B3だと女性が座って弾くときに前から見てスカートの中が見えちゃうというか、ベース用足鍵盤を踏む足サバキが目を引いてしまい、エレガントさに欠けるという理由で、このように教会風の箱型モデルも発売した。らしいです。(又聞き)
では、なんで男の子なのに、“C3”にコダワルのか。というと、川村さん的理由は「厚見玲衣さんと同じだから!」となりますが、厚見さん的には「ディープパープルのジョンロード、ELPのキースエマーソン、Yesのリックウェイクマン etc, あの時代のブリティッシュハードロック・キーボーディストは皆、C3 だから」となります。

脈々と、その血は受け継がれているワケです。

ちょっと待った。中身を取り出して、透明のオリジナルデザインケースに入れ替えちゃうのに、なんで“C3”にコダワル必要があるんだ。と、思ってしまった方。
別に、探しやすい “B3” でもよかったんじゃないの?と思った方。

残〜念っ、失格です。
最初のプロローグに戻ってスタートから読み直しっ。(笑) →[戻る]

で。この日本にも、探せば “C3” は勿論あるにはアルのですが。。。。
コンディションの良い物となると、車が買えるくらい高い!
これを書いている2010年現在の相場は、日本では150万円〜200万円以上もします。ひー。

実は、玄関が入るか、廊下を通るか、床が抜けないか。という問題よりも、とんでもなく値段が高いとう事のほうが。
更には、コンディションの良いC3を見つけ出せるかどうか、という方のほうがイザ買おうとするとずっと大きな障壁となるのです。
サテ。
障壁ばっかり並べ記しても仕方ないんで、先ずは探しましょ。って考える(問題点は後から考える)のが念波人。(笑)
早速、チョップと透明化という大改造を引き受けてくれたヴォイジャーさんに捜索と品定めを相談して、地球上のアチコチに“網(NET)”を張ってもらったら、あっという間にC3捕獲の一報が。
さすが舶来品。海外には今でも生息してるんですね。
そして、ここでまたミラクルな追い風が吹きます。
地球の歴史上、1ドルが80円にまで安くなったことって、過去に一回しかないのですが、オルガン買おうとしたら、為替レートが歴史に残る安値になってくれて、「今だ!買え!」と、国と国を挙げて言わんばかり。
急激な円高は国益を損ないますので、世の中には困っている方もたくさん居ます。。。。がっ。ここではっ。ムフ!(笑)

もしホンの2年前のレート(1ドル=120円くらい)だったなら、仮に5000ドルの買い物をすれば、日本円に換算すれば約60万円の支払いだったのですが、これが1ドル=80円トナレバ、支払額は約40万円!と、超・お買い得価格になるワケです。補助金もエコポイントも要りません。

まさにっ。今が買い時、ハモンドオルガン!(←ウソです。次に出てくる写真を見てから考えましょう。)

テナ感じで。最初の障壁となる「捜索」「品定め」「購入」「お支払い」までを
一気にクリアしてしまい、次のステップに駒を進めます。

こ・れ・で・す。

 

 

 

輸入です。個人輸入。

自分が持ち上げているんじゃないのに、こうして見ているだけでドッと疲れが襲ってきます。
このよーに、フォークリフトやクレーンなどの重機がなければ、とうてい動かすこともできません。
木箱の大きさは2メートル四方!(と、しておきましょう。)
重さは。。。なななんと。。。。すんごい重さっ!(資料不足っ) 

これを荷受けできるご家庭など、ありゃしませんよ。
なので、フツーは買わない。。。んじゃなくて、買えないっ。んですね。

この木箱を輸入手続きして、トラックやらクレーン重機やらの手配をして、ヴォイジャーさんの作業場(なんと建物の2階!)に運び込むだけで、ボクならば今年の作業はこれで終了です。
そして、この巨大な木箱を分解して、中から重さ 200kg もの“C3” を引きずり出すトナレバ、いったいどんだけの重労働なのか。。。想像するだけでナニモカモ明日以降にしたい気分になります。

なのにっ。

すぐに、木箱から出して、この美しい勇姿を撮影されて、「無事、到着しました〜」ってメールしてくるヴォイジャーさんって。。。。

恐るべし、めくるめくオルガンオタクの世界っ!
「オレ、楽器の改造なら得意だよ。」と自称している全ての楽器オタクが、この足鍵盤の上にひれ伏します。

これだけでも、20kgくらいあります。
木箱を開梱している地獄絵図もあります。(笑)
   ↓

せっかくすぐに出してくれたので、すぐに見ていきましょう。
これが、クラゲとなる前の、在りし日の Hammond C3 の姿です。


蓋もピカピカ


背面もピカピカです。


ぴかぴかの背面板を外すと、中はこうなっています。


美しい鍵盤


黄金のロゴマーク


シリアルNo,は、77617


モーター電源スイッチ


手前はヴォイジャーさんのC3

この時はまだ余裕のヴォイジャーさん、
取材にいらした雑誌社のKawaiさんと記念にパチリ

ウットリ。。。。
な・ぁ・ん・て、カッコイイんでしょう!
これが50年も前に作られたなんて、信じられますでしょうか。
これほどに美しく外観のコンディションを保ち、そして楽器としてのクリオリティを保っている C3 は、
そうそう出会えません。

なのにっ!
容赦なく、ギコギコ、バキバキバキッ、ガッチャ〜ン!と。 (←ウソ。擬似音に誇張アリ。)


裏蓋を開けると中はこう


先ず、手前にあったアンプ回路から撤去


次に巨大な音源ユニットを撤去


手前が音源=トーンホイルユニット(重いよ)


鍵盤ユニット(これも重いよ)


学習机(ウソ)

恐らく Hammond C3 を容赦なく分解する写真など、一生見ないで済むのが普通の人生です。(笑)

いやいやいやいや、これほどに素晴らしいヴィンテージ楽器は、
このまま美しいコンディションをキープしたまま、改造などせずに。。。。

と思った方。居ますよね。実はボクもそう思いましたよっ。。。。でも。。。。
残〜念っ。ここまで来て、失格です。(笑)
スタートから読みなおしでぇす!。        →[戻る]

 

容赦なく“海月”の完成へと突き進む覚悟のできた方だけ。駒を進めましょう。

ここからは

いよいよ川村さんの夢の中に居た“海月”が、実在の楽器となって現世に登場する過程をご覧頂きます。
先ず。この、世界一美しい楽器を作り上げよう!
という壮大なる計画の、まさに “原点” となる一枚のイラストをご覧頂きましょう!

こ・れ・が、“海月”の、いちばん最初の、“幻”の、デザイン・デッサン画です。

いや〜ん、川村ちゃん、絵、へた〜。(爆)

つーか。

このマンガ(←デッサン画という言葉をすでに封印)から、
あの美しい完成形“海月”を作り上げてしまうヴォイジャーさんって。
う〜ん。ここはまたしてもひれ伏し絶賛すべきでしょうが、あえて。。。「やっぱり変」です。
たぶん、コレ読んで、うなづいてくれている人居ますよね。
合格です。
先へ進みましょう。(笑)

で、このマンガが、ヴォイジャーさんの手にかかると、こうなります。

おおーっ、川村ちゃんのマンガが、いよいよ“海月”らしくなってきました。(笑)

 

「ですからー(笑)、あれはWindows付属のペイントという簡易ソフトで、“マウスで!”、描いたものです。しかも3分くらいで。だから、あの程度の・・・誰だってマウスなら、あんなものでは・・・ゴニョゴニョ。」 by 川村ケン

 ↑
ま。言い訳ですな。(笑)
はいはい、マウスね。はいはい。

先へ進みましょう。(うひひ)

ここで、前述のGRAND FUNK クラゲハモンドと、この“海月”が似て異なる物であることに気付いた貴方は、真性のオタクです。
GFRのクラゲハモンドが、Hammond B3 の外観を忠実に透明化したのに対し、“海月”は C3 の外観とは全く違うオリジナルデザインなのです。
え? 最初に木箱から C3 が出てきた時に、“海月”とは全然デザインが違うぢゃんって気付いてたました? チッ。

川村画伯こだわりのデザインは、この横から見たシルエットです。

「C3 も B3 も、サイドパネルが木の板なので、オルガンをステージ上に横向きに置いても鍵盤を弾く指がサイドパネルでお客さんから見えないよね。
でも、もしサイドパネルが透明なら、お客さんに演奏する指使いまで見てもらえて、もっと楽しんでもらえるんじゃないかな。」

という、川村さんの“想い”は、やがて、

「巨大な心臓部を鍵盤の下から鍵盤の後ろに変更すれば、奥行きは増えるけど、上に他のキーボードが置けるようになって実用的だし、薄型になるから運びやすいし」

と、実用性にも思いを馳せ、やがて

「どうせならオリジナル曲線デザインにして、フェラーリみたいにしたら、かっこいいぞ!」
となり、

「やっぱ、スーパーカーブームを代表する、512BBみたいな。。。いやいや388GTOみたいな。。。」
となり。。。。

って!

こどもぢゃん!(笑)

タシカニ。388GTO にはそっくりじゃ。
あう。逸れたっ。(by フェラーリ好き)

 

で、文章に書くと、「心臓部を鍵盤の下から後ろに変更」と、たった15文字なのですが。
それを実現するための地獄絵図(オタク的にはパラダイス)の光景をご覧ください。


これ、全部配線しなおすんです。


黒い線も一本ずつ全部ですよ。


心が休まる写真が一枚もありません。


音源ユニットの緑のカバーを剥いだら。。。見なきゃ良かった。


綺麗です。感覚が麻痺してきました。


小さな部品ひとつひとつに意味があります。


音の出口部分のユニット。


組込むとなると。。。ひー。


電源部分。高圧危険。


鍵盤の下だった音源ユニットが鍵盤の後ろに移動。凄っ!

またしても。
見ているだけで疲れてしまいました。。。(笑)
何百本もの配線ケーブルは、全て、丁寧にハンダ付けしなおさなければなりません。

更に、50年前のコンデンサ等の電気部品が、今も製造時そのままの性能を発揮するワケもなく、これらのパーツは全て、交換されたのです。


最強サポーター、Tokudaさん。

パッチン、パッチンってワンタッチで交換するのではありません。ひとつひとつ、ハンダを丁寧に剥がし、ひとつひとつ丁寧にハンダ付けしてゆくという、正に気が遠くなるような、根気と技術と執念が求められる作業です。
なにが凄いって、毎日仕事から帰ってきてからやるんですよ。これが本職なんぢゃないんですよ。(爆)
冒頭、「アクリル製シャーシに移植し、」などと、これまたわずか13文字で表現してしまいましたが、この目眩がしそうなハンダ付けだけでも、“海月”の製作がどれほどトンデモナイ作業なのか、もう充分に伝わった事でしょう。

 

しかし、現実は。。。まだまだこれだけではないのです。どうぞ逃げ出さずにご覧ください。
では、どうぞっ。


ひたすら黙々と配線作業。


ヴォイジャーさん、Tokudaさん、最強コンビで黙々と。。。


よく見たら、なんか食ってます。(笑) 正に寝食を惜しみ。

ちなみに、ボクなら裸足で逃げ出します。(笑)
だって、分解しても、ひとつひとつのユニットは、何10kgもの重さがあって、動かそうにも動かない。
しかも何百点もの、とんでもない量の部品の数。
エレキギターをどんだけバラしても、部品の数はせいぜい50点、ネジの数はせいぜい30本くらいです。
ハモンドオルガンをバラすよりも、テレビをバラすほうがずっと楽です。
気を抜くと文章までもどんどん逸れて逃げていきますが、作業は着々と進み、そうこうしてる間に、いよいよアクリル製の透明シャーシも出来上がり。


傷にならないよう、輸送は厳重梱包


青いのは、保護ビニール


ビニールを剥がすと無色透明。ピッカピカ


こうなると一回組んでみたくなるってモンです。(重いのに)

このシャーシを作るだけでも、とんでもない大変な事なんですが、なんだかすっかり麻痺して、フツーに写真を眺めることができます。

この人に任せておけば大丈夫。みたいな安心感。(笑)

このレポートを読んでいる誰もが、その重さやデカさに思いを馳せることをすでにしなくなって、もしかしたらホームセンターとかで売っていて、サクサクって組み立たるような錯覚にさえ陥ってしまっています。(笑)

そしていよいよ。このようにサクサクと“海月”が姿を現します。

前述にて、木製ケースから透明ケースに移植しているだけではないと説明しましたが、本来は鍵盤の後方下に位置する音源心臓部の巨大なユニットが、鍵盤の真後ろに移動した様子が写真でもわかると思います。

内臓されているアンプも交換され、移動しています。

内臓されているリバーブユニットは新しい物に交換され、こんな所に移動しています。
しかもユニットは2台に増設されています。

増設されたリバーブユニットは、「ガシャーン用」 です。
ここまで逃げ出さずに読み進んで来た方に、いまさら説明の必要があるとも思えないのですが、 リバーブっていうのは、お風呂の中の残響音みたいな効果を得る為の装置です。このようにユニットの中身はスプリングなのです。スプリングに信号を通すと、風呂場みたいな感じになるという仕組み。
で、スプリングですから、揺するとシャーンって金属音がしてしまい、その音はアンプから出てしまうワケなのですが、ならばこれでもかと、ドッカンって衝撃をあたえると「グワシャーァァァァン!」って、凄い音がするのです。
オルガンに体当たりしたり。オルガン本体を持ち上げて床に落としたり。←重すぎて持ち上がらないんで、床からホンの少しだけ持ち上げて(オルガンを倒そうとして)手を離してゴトリと落とすカンジ。
ディープパープルの名盤「ライヴイン・ジャパン」の名演、ハイウェイ・スターのエンディングの最後のガシャーンといえば誰もが知ってますね。
で、ガシャーンの瞬間だけ、リバーブ音量を上げれば効果絶大なのですが、上げたまま演奏すると「風呂場じゃあるめーし」と野次られてしまうので、上げ下げする必要があります。しかし音量が下がっているのを忘れるほどコーフンしてしまって体当たりすると「クシュン」って小さい音しか出なかった。などという愉快なシーンを作り上げてしまう事もよくあることなのです。
で、この“海月”。 このトーリ、リバーブユニットが2台あるということは、1台は演奏してるときの残響音を「いい感じ」にするために使い、もう1台は「ガシャーン」用に、常に音量を上げておける。つまりプリセットです。プリセットという言葉が似合わないくらいユニットはデカイけど。(笑)
つまり。いつでもコーフンしたら、オルガンをゆすってガッシャーンって出来るのです!!!

あれ?もしや。「それが音楽を演奏する事と何の関係があるの?」 と、呆れ顔の方。。。。

おめでとうございます!
卒業です!(笑)
このままログアウトしちゃってOKです。

 この先も、こんな話題ばっかですから。(笑)   → [ログアウト]

 

「すげーな。ガシャーンだけの為に、リバーブユニットを2台に増設したのか!」と、呆れ顔の方。。。。
正解っ。
ボクも初めて見たとき、呆れましたもん。
だって、その取り付け方の“工夫”といい、見た目の美しさといい、あまりにも良く出来ているんで!

 

この“海月”。

見る人が見れば、製作者の創意工夫といい、深い造詣・知識といい、驚くばかりです。
それらの“匠の技” が、懇切丁寧に組み上げられ、何よりプロミュージシャンの道具としての使いやすさが優先され、単なるデコレーションされた楽器ではないということもまた、見る人が見れば一目瞭然なのです。

そして、この“海月”の最大の魅力は。

この宇宙船のような外観の楽器から放たれるサウンドが、50年も昔に作られた楽器そのままだということです。
1950年代という時代の空気感をも伝える甘く軟らかい極上のハモンドオルガンサウンドは、そのままドハデな外観に移植されました。
この甘く軟らかい音色こそ、現代のデジタル音源化されたオルガンでは絶対に再現できないサウンドなのです。

視線を集めるアクリル製の外観と、まさに好対照な50年前の“オルガン部分”をご覧ください。

使い込まれたツマミやレバーの風合いが、完成したばかりのこの“海月”に、すでに圧倒的なヴィンテージ楽器だけの持つ風格を与えていることは写真からも伝わっていると思います。


50年以上前に刻印されたシリアルナンバー。
50年前、ハモンドオルガン社は、イリノイ州シカゴにあり、この壮大かつ繊細な発明品は、アメリカ製である。
と記されています。
50年前のアメリカの印刷技術の素晴らしさまでも、この一枚の歴史的プレートは語っています。

 

見た目にも時空を越えそうなデザインですが、ほんとうに50年という時間を飛び越えて、50年前の極上サウンドを奏でる。
この大改造を成し遂げ、世界一美しい楽器を完成させたヴォイジャーさんの、ほんとうのすごさ。
それは、50年前のハモンドオルガンを最高のコンディションにまでフルメンテナンスしたうえで、(それだけでもトテツモナイ事です) 更に持てるノウハウを惜しみなくつぎ込んで数々の改造を施し、現代の音楽制作現場にも通用する最高の“ヴィンテージ・ハモンドオルガン C3 ”を完成させたことなのです。
現世に生き残っている50年代のハモンドオルガンで、これほどのサウンド・コンディションを誇る“C3”は、世界中に何台も無いハズなのです。

出来上がった“海月”をご覧ください。


もう、十分に満腹ですね。。。。。が。しかしっ。
甘いっ。

我々フツーの一般人(さりげなく自分もそっち側に立ちつつ)からすれば、これで完成なのですが、
川村先生とヴォイジャー先生は、これだけでは満足しません!
すでにこれを読んでいる皆さんが知っての通りっ。これです!


これは、適当に光らせているのではありません。
どうすれば、いちばん美しくアクリルの中を光が走るか。
どうすれば、いちばん美しく全ての角度から見えるのか。。。

そこまで考えます?

ボクなら既製品の懐中電灯を投げ込んで、「ほーら光った。電池が切れたら交換してください。」ですよ。
そんなボクに、「水族館の美しいクラゲは電池式か?」 と詰め寄ってくる先生方の迫力を想像してください。
(実際にはされてませんよ。でもおもしろいんで想像してください。)

この、ひとつひとつ丁寧に配置された高輝度LEDライトは、なんと調光機能付きです。
光の明暗を調整できるのです。


一番下の銀色の丸いのが光の明るさを調整する調光ツマミ。
その上のボタンが点灯/消灯させるON-OFFスイッチです。

ステージの照明の具合や演奏する楽曲イメージに合わせて、ぼんやり光らせることも、華やかに光らせることも可能なのです。

この“海月” は、ただ光るんではないのです。
そこまでします?

例えば。光を点滅させるリレー回路を組み込めば、バラードだろうとヘヴィロックだろうと、キャバクラのネオンのようにテッカテカ、チカチカさせることも簡単にできます。

しかし、そーゆー「俺だけ目立てば!うひゃひゃひゃ〜」っていう品のない機能は絶対に付けないのです。
先生方は、キャバクラになんか興味はねえ。
先生方が興味があるのは、キーボードだけだっ。と。(笑)

どうです。

これぞ、“愛” です。

美しい外観、極上のサウンド、丁寧な造作、奏でられる最高の音楽。

誰もがその華やかなプレイに魅せられ虜となる川村ケンさんというキーボーディストは、遂に世界一美しい“愛器”を手に入れ、その輝きは更に昇華してゆくことを感じているのはボクだけではないハズです。
その華やかさは、ここにどれだけ書き連ねようと表現できません。それだけは、これを読んでいる皆さんが、実際にコンサート会場で川村さんの演奏に触れ、体験して頂く以外にありません。
もし、この長〜い長〜い、“海月” の記事を最後まで読んでくださって、興味を持ってくださったならば、きっとボクの言う “ 世界一の華やかさ ” のほんとうの意味と、この“海月”の素晴らしさを御理解頂けると確信してます。

ヴォイジャーさん、おつかれさまです。
世界一。を、ありがとう!

 

 

 

 

 

あ。いけね、まだあった。

完成した“海月”の搬出もまた、最初の「木箱」の搬入以上に困難であったことを下の写真で噛みしめてくだい。(笑)
巨大なフライトケースはもちろん特注です。(その名のごとく、ほんとに青い空を飛んでます。)

 

 

サテ。皆さん、
いよいよ、“約束の場所”への出発です。
一緒に戻りましょう。

つ・ま・り、まだ終わりぢゃないんです。(爆)   → [レポートに戻る]